地球上には「隕石に見えるだけの石」がたくさん存在する。
このような石たちは「隕石風の石」または「meteowrongs」とも呼ばれる。
見た目の類似性から多くの人が大学や研究機関に鑑定を依頼してしまうこともある。
実際、そうした依頼物の約9割が隕石ではないと判明しているのが現状だ。
ここでは、見た目が似ているものの隕石とは異なる鉱物や、その見分け方の基本を紹介する。
見分けるポイント
隕石の見分け方にはいくつかの基本的なポイントがあるが、初心者には以下の要素をチェックするのがおすすめだ。
- フュージョンクラスト(融解殻)
隕石は大気圏に再突入した際、外側が高温で溶けて薄い殻が形成される。
これがフュージョンクラストと呼ばれ、隕石の特徴的な質感や色合いを持つ。 - 磁性の有無
隕石の多くは磁石に反応するため、まず磁石を当ててみるのも手だ。
ただし、全ての隕石が磁石に反応するわけではなく、エイコンドライトのように磁性がほとんどないものも存在する。 - 重量と密度
隕石は通常の岩石に比べて重く感じられる。
これは金属成分を多く含んでいるためであり、密度の高さも見分ける手助けとなる。
隕石と間違えやすい石の例
隕石に似た見た目の石は数多くあり、以下に代表的なものを挙げる。
- 鉱滓(スラグ)
鉱滓(スラグ)は、鉄、ニッケル、クロムなどを精錬する際に生じる副産物だ。
黒く不規則な形状をしていることが多く、フュージョンクラストに似ているため隕石と間違えられやすい。 - 玄武岩
玄武岩は溶岩が冷えて固まった石で、表面が粗く、隕石に見えることも多い。
特に見た目が黒っぽく、空洞がある場合は、隕石と勘違いしやすい。 - マンガンノジュール
海底に形成される丸い塊で、金属を含むため隕石のように見えることがある。
海岸などで発見されることが多く、磁石に反応する場合もあるため注意が必要だ。
プロでも判別が難しい隕石
隕石の中でも特に見分けが難しいのがエイコンドライト隕石だ。
エイコンドライトはフュージョンクラストがほとんどなく、地球の岩石と非常に似ているため、プロでも一目では判別が難しい。
このような場合、科学的な分析が必要になることもあり、成分分析やX線による内部確認が一般的だ。
こうした鑑定には特別な機材や専門知識が必要なため、素人が隕石かどうかを見極めるには限界がある。
注意!「隕石風の石」と偽物市場
「meteowrongs」が多く存在する中で、偽物として販売される「隕石風の石」も少なくない。
信頼できる販売者から購入することが、安全かつ価値ある隕石収集の第一歩だ。
まとめ
隕石の見分け方を学ぶことは、隕石収集をより深く楽しむための一歩。
フュージョンクラストや磁性など基本的な特徴を押さえつつ、隕石に似た石の存在を知ることで、収集に伴うリスクを軽減できる。
隕石収集には多くの知識と経験が必要だが、その過程こそがこの趣味の醍醐味でもある。