隕石の種類 – 宇宙からの飛来物の分類

NWA 13370 Howardite

隕石の種類とは?

宇宙から地球に届いた「隕石」は、ただ一つのタイプに限らず、実に多様な種類がある。

それぞれが異なる母天体や形成過程を持つ。

隕石の主な種類と特徴についての概要は下記の通り。

なお、テクタイトは隕石ではない。 テクタイトは隕石の衝突によって地球上で生成された天然ガラス。 詳しくは「隕石とテクタイトの違い」で解説している。

隕石の基本分類

隕石はその組成や形成過程に応じて大きく3つのタイプに分類される:

これらの基本分類は、隕石の成分や地球外での形成の違いを反映しており、それぞれが独自の物語を持っている。


コンドライト (Chondrite)

コンドライトは隕石の中で最も一般的なタイプであり、太陽系の歴史をそのまま保持しているといわれる原始的な隕石である。

  • 特徴:コンドライトには、コンドリュール(丸い粒状の構造)と呼ばれる丸い粒状の構造が含まれている。 これらのコンドリュールは、宇宙空間で高温から急激に冷却された粒子であり、隕石にこのような特徴的な粒状構造が残るのは、コンドライトならでは。
  • 種類:コンドライトには、エンスタタイト・コンドライトやカーボナス・コンドライトといった異なるタイプがあり、それぞれが微妙な成分の違いや生成環境の変化を反映している。
  • 価値:この隕石の多くは、地球上に落下したままの状態で存在しており、初心者から研究者まで幅広く注目されている。

コンドライトは、太陽系が誕生した頃からほとんど変わっていないとされ、そのため「宇宙の化石」とも呼ばれることがある。

詳細は「コンドライトとは?」にて。


エイコンドライト (Achondrite)

エイコンドライトは、母天体上で火山活動や衝突によって変成した隕石で、地球の火成岩に似た構造を持っている。隕石の中でも数は少なく、研究者やコレクターの間で貴重な存在とされている。

  • 特徴:エイコンドライトには、コンドリュールが含まれていないため、「エイコンドライト」(非コンドライト)と呼ばれる。母天体での加熱や溶融があったため、内部構造は滑らかで、岩石が一度溶けた後に冷却された形跡がある。
  • 代表的な種類:エイコンドライトには、月隕石火星隕石が含まれており、これらはそれぞれ月や火星の地表から分離されたものと考えられている。また、シャーゴッタイトやユークライトといった種類も含まれ、これらは小惑星の表面で形成されたと考えられている。
  • 価値:エイコンドライトは数が少なく、月隕石や火星隕石など特定の天体からのものは特に高価である。コレクションとしても非常に魅力的で、科学的研究にも価値がある。

エイコンドライトは地球外の火成岩ともいえるため、火山活動や天体衝突の歴史を研究する上で非常に興味深い隕石である。

詳細は「エイコンドライトとは?」にて。


鉄隕石 (Iron Meteorite)

鉄隕石は、その名の通り主に鉄とニッケルから成る金属隕石で、重厚感があり、独特の模様と質感が特徴的だ。多くの鉄隕石は、母天体のコア部分で形成されたと考えられており、隕鉄としてもコレクターに人気がある。

  • 特徴:鉄隕石には、冷却の過程で形成されたウィドマンシュテッテン構造と呼ばれる規則的な模様が見られる。この模様は、金属成分が非常にゆっくりと冷えたときにのみ現れるため、母天体の中心部で数百万年から数億年かけて冷却された証とされている。
  • 代表的な種類:有名な鉄隕石には、ギベオン隕石ムオニナルスタ隕石がある。これらは美しい模様と重厚感で特に知られており、宝石としても加工されることがある。
  • 価値:鉄隕石はその美しい模様と重厚感から、隕石の中でも特に高価なものが多く、コレクションやアクセサリーとしても人気がある。

鉄隕石は、地球では見られない模様や重みがあり、宇宙の壮大さを感じられる貴重な隕石。

詳細は「鉄隕石とは?」にて。


パラサイト (Pallasite)

パラサイトは、隕石の中でも特に希少で、美しい外観を持つことで知られる。鉄とシリカ鉱物が混ざり合った独特の組成を持ち、隕石のコレクターにとって憧れの存在となっている。

  • 特徴:パラサイトは、鉄隕石とシリカ鉱物(特にオリビン)の結晶が混ざり合った構造を持ち、断面に切り出すと鉄と透明なオリビンが輝く独特の模様が見られる。そのため、宝石としても加工されることが多い。
  • 起源:パラサイトは、母天体の金属核とマントルの境界部分で形成されたと考えられている。母天体が破壊された際に、この境界部分が地球へと到達した。
  • 価値:美しい見た目と希少性から、パラサイトは高価であり、特に透明なオリビンが大きく美しいものはさらに高い価値がつくことがある。

パラサイトは、金属と鉱物の融合を見せてくれる魅力的な隕石であり、コレクションに加えると一気に華やかさが増す。


炭素質コンドライト (Carbonaceous Chondrite)

炭素質コンドライトは、隕石の中でも特に原始的で、太陽系の始まりを物語る成分が含まれている。水や有機物を含むことが多く、生命の起源や宇宙の化学反応を研究する上で重要な存在となっている。

  • 特徴:炭素質コンドライトには、水やアミノ酸、その他の有機分子が含まれることがあり、これらがどのように太陽系で形成されたのかを理解するための鍵となる。また、地球上の岩石とは異なる不安定な鉱物が多く含まれており、扱いには注意が必要だ。
  • 種類:炭素質コンドライトには、CI、CM、CVなどの異なる分類がある。それぞれに微妙な成分の違いがあり、隕石の起源や太陽系の進化についての手がかりが含まれている。
  • 価値:水や有機物を含む性質から、炭素質コンドライトは科学的にも非常に貴重である。コレクションとしても興味深いが、取り扱いに注意が必要なため、保存環境にも配慮が求められる。

炭素質コンドライトは、「生命の起源」や「宇宙の化学反応」を解明するための重要な隕石で、科学的な価値が極めて高い。

詳細は「炭素質コンドライトとは?」にて。


まとめ

隕石はその成分や形成過程によってさまざまな種類に分類され、それぞれが異なる宇宙の物語を語っている。 コンドライト、エイコンドライト、鉄隕石という基本的な分類から、希少で美しいパラサイトや、太陽系の起源を示す炭素質コンドライトまで、多様な隕石が存在する。

それぞれの隕石には独自の特徴があり、収集する楽しみも大きい。

これらの種類を理解することで、隕石の世界への興味がさらに深まり、より豊かなコレクションの構築につながる。

上部へスクロール