ゴールドベイスン隕石とは? 歴史、科学、価値

ゴールド・ベイスン アリゾナ
名前Gold Basin
発見年1995年
発見場所アリゾナ州, アメリカ合衆国
分類普通コンドライト
タイプL4
重量61kg
落下の観測なし
個体数1484
特徴的な要素オリビン Fa24±1, パイロキシン Fs20Wo1, カマサイトに0.72 ± 0.09 wt% Co, 残存クラスト
座標35° 52′ 30″N, 114° 14′ 0″W
[Google Map]

発見の歴史

ゴールドベイスン隕石は、1995年11月、アリゾナ州のホワイトヒルズ周辺で発見された。

この隕石を発見したのはアリゾナ大学の名誉教授、ジム・クリーグ氏。彼は金を探して金属探知機を使っていたが、偶然「ホットロック」と呼ばれる反応を得たのがこの隕石だった。

当初は金属の塊として扱われていたが、やがて隕石であることが判明し、クリーグ氏の調査と努力により、その地域で次々と隕石が発見されることとなった。

1997年11月までに、総重量61kgにもおよぶ1484個の隕石が発見されている。

隕石の特徴と科学的な価値

ゴールドベイスン隕石は「L4型普通コンドライト」に分類される。

L4型は、鉄とシリケート鉱物が程よく混ざり合った一般的なタイプの隕石で、太陽系の始まりに近い状態を保つ「オリビン」(Fa24±1)や「パイロキシン」(Fs20Wo1)といった鉱物が豊富に含まれている。

この隕石の残存クラスト率は個体ごとに異なり、風化や衝撃の影響を受けたものが多い。

また、カマサイトという金属部分には微量のコバルト(0.72 ± 0.09 wt% Co)が含まれており、隕石の科学的特徴を示す重要な要素となっている。風化グレードもW2-3とされており、適度な風化が隕石の表面に独特な表情を与えている。

宇宙からのストーリー

この隕石が持つエピソードには、数百万年にわたり宇宙を漂ってきた神秘が詰まっている。 かつてアステロイドベルトで形成され、激しい衝突や宇宙放射線の影響を受けつつ、やがて地球へと辿り着いたゴールドベイスン隕石は、まさに宇宙からの贈り物。 特に残存クラストが特徴であり、当時の宇宙空間での風化や地球大気圏を通過する際の摩擦を物語っている。

金属探知機に反応し「ホットロック」として長らく見落とされていたこの隕石は、宇宙からの贈り物としての価値が再認識された瞬間とも言える。

現代の価値と収集家への魅力

ゴールドベイスン隕石は、比較的多くの標本が発見されているため、入手難度はそれほど高くない。

しかし、この隕石には「宇宙からの旅路」や「地球での発見」という壮大なストーリーがあり、収集家の間では特に人気が高い。

個々の石が風化や摩耗の違いにより独自の表情を持ち、他の隕石とは一線を画すユニークさを放っている。 また、各国の博物館や大学にも標本が所蔵されており、その科学的価値は今後の研究にも期待がかかっている。

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