ムオニナルスタ隕石(Muonionalusta)の詳細:特徴と歴史、価値

ムオニナルスタ隕石のスライス
名前Muonionalusta
発見年1906年
発見場所スウェーデン
分類鉄隕石
タイプIVA
重量230kg(全体)
落下の観測なし
個体数40以上
特徴的な要素ウィドマンシュテッテン構造、スティショバイト
座標67°48’N, 23°6.8’E
[Google Map]

ムオニナルスタ隕石とは

ムオニナルスタ隕石は、スウェーデンの北部、ノールボッテン県[Google Map]で1906年に初めて発見された、世界的に有名な鉄隕石。

その後も数十片が見つかり、その分布はパヤラ地区の約25km×15kmに広がっている。ムオニナルスタは、宇宙からの古代の証であり、その年齢は約45.653億年とされ、最古級の隕石として知られている。

科学的な特徴

ムオニナルスタ隕石は、鉄とニッケルを主成分とし、「ウィドマンシュテッテン構造」と呼ばれる美しい幾何学模様が見られることが特徴だ。これは、極めてゆっくりとした冷却過程によって生じる自然界でしか見られないパターンである。

[参考]:ウィドマンシュテッテン構造とは?

この隕石はIVA型鉄隕石に分類され、さらに、クロム鉄鉱(Chromite、クロマイト)やダウブリール石(Daubréelite)、赤金鉱(Akaganeite、あかがねこう)、シュライバーサイト(Schreibersite)、トロイリ鉱(Troilite、トロイライト)といった鉱物も含まれている。また、ムオニナルスタは高圧下で形成された非常に希少な鉱物であるスティショバイト(Stishovite、スティショフ石)を含むことが確認されており、これが過去の大規模な衝突を物語っている。

歴史と発見の背景

ムオニナルスタ隕石は、最初の発見は1906年、ノールボッテン県(Norrbottens län)のキトキオヤルヴィ村(Kitkiöjärvi)[Google Map]付近とされる。1946年、1963年にもさらなる発見があり、それぞれ15kg、6.2kgの隕石片が見つかっている。これらの発見により、ムオニナルスタは広範な地域に散在していることが明らかになった。

隕石の学術研究は1910年、ホグボム教授によって初めて記録され、その後も研究者たちによって深く調査が続けられている。

ムオニナルスタ隕石の魅力

ムオニナルスタ隕石は、ウィドマンシュテッテン構造の精緻な美しさに加え、約100万年前に地球に落下し、4回の氷河期を経験してきたという壮大な背景を持つ。この歴史が、隕石表面の強い風化や小石の痕跡にも反映されている。

また、コレクターや研究者の間で高く評価される一因は、その希少な鉱物と過去の衝撃により形成されたスティショバイトの存在だ。これは、隕石が単なる鉄塊ではなく、過酷な宇宙の出来事を経て地球に到達したことを示す。

ムオニナルスタ隕石の入手とコレクションのポイント

ムオニナルスタ隕石は、隕石コレクターやジュエリー愛好家に非常に人気がある。特に、ウィドマンシュテッテン構造が美しく見えるものは非常に価値が高く、投資対象としても注目されている。

現在はギベオン隕石と同様、エッチング処理された美しいウィドマンシュテッテン構造を持つスライスが流通している。供給量は限られているため希少価値が高いものの、市場に流通している鉄隕石の中では、ムオニナルスタ隕石の割合は比較的高い。

近年では、エッチング処理されたムオニナルスタ隕石が時計やジュエリーの素材としても使われており、コレクションとしての魅力を高めている。高品質な標本は博物館や研究機関にも保管され、チェコの国立博物館やモルダバイト博物館、スウェーデンの自然史博物館などで見られる。

チェコ国立博物館のムオニナルスタ隕石
チェコ国立博物館のムオニナルスタ隕石

まとめ

ムオニナルスタ隕石は、宇宙からの壮大な贈り物であり、その美しい模様と歴史的価値から、多くの人々に愛され続けている。科学的にも興味深く、その長い歴史と希少な鉱物の存在は、今後も人々を魅了し続けるだろう。

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